【第9回木暮人国際映画祭 Online】紹介コラム 第5回

【第9回木暮人国際映画祭 Online】紹介コラム 第5回

◎上映作品紹介
「木に問う・職人技 (中国)」
監督:Gu Xiaojun  ドキュメンタリー

木に問う・職人技(中国)

中国人の文化への自信—大工文化

近年中国人はいつも自分の文化への自信を論じている。オリジナルIPや芸術作品、または人気がある原神のようなゲームを含めて、中国人は中国文化を宣伝したいのだ。
中国人は前向きが好きな民族なので、古い歴史も時代に捨てられて、民族の根幹に影響を与えた文化を忘れることもあった。残念ながら中国の大工文化とそれに関する歌などはその中の一だ。
「木に問う・職人技」、この作品は、中国伝統の木の構造と造営芸術を描写したドキュメンタリーである。中国人が木を素材にして大きな家を建てる内容ももちろんであるが、私の心を捉えたのは、その画面に嵌め込んだ歌なのだ。
中国の西南に生まれた私は、記憶があるから方言の歌が耳に残った。歌はいろんな感情を持ち込むことができ、よく歌われる恋愛歌のみならず、葬式の曲や童謡もある。例えば、「マザーグース」を聞いた時は、かなりの人が都市伝説を思い出す。「蛍の光」を聞いた時は、日本の紅白歌合戦を思い出す。このドキュメンタリーの中にある歌は、歌詞から見ると相当に理解しやすい単純な内容だが、方言で歌っているため、一言も分からなかった。その音楽に熟知していない私にとっては、前半のBGMは、まるでチャルメラが鳥の声を真似ているようだった。しかし、それがあっという間にぼんやりした意識を画面に集中させた。
それに比べ、後半の歌は木造の純朴感を感じさせる。ほぞ継ぎと同じく、簡単でも頑丈、更に真似しづらい。私が観たのは木で家を造ることだけでなく、ある一種の記憶の呼び起こしなのだ。なんとなく歌が耳に残っている子供時代、デジタル化が起こっていなく、ハッピーが簡単な時代だった。
もしあなたもそのような思い出があれば、それを「木に問う・職人技」の中に探してみませんか?

 

○詳しく内容はホームページから↓
無料、参加方法は下記へ
https://www.kogurebito.jp/filmfestival2021
皆様の申し込みをお待ちしています。

 

■木暮人映画祭について
一般社団法人木暮人倶楽部が主催する「木暮人国際映画祭」は、森林や木をテーマにした映画や映像を広く社会に広めることで、主に都会に住む一般人に森林や木をもっと身近に感じてもらうことを目的として、2013年から森林や木に特化したテーマの作品を、プロやアマチュアを問わず世界から募集して上映する形式で開始し、2021年も同様に開催、本年で第9回目を数える。
広い意味では、映像を通じて、自然共生型社会を目指し、自然と人間の共生や共存意識を社会にメッセージし、日本の木に関わる産業や木の文化の発展にも寄与することを目指している。
募集映像ジャンルは、ドキュメンタリーやドラマなどの実写やアニメ、CG、ミュージックビデオ、CM 等で、映画祭の趣旨に合い、募集テーマに合致するものであれば、どんな映像でもエントリーが可能。2018年度からは作品の長さ制限をなくした。
森林や木の有効活用が、森林の保全・管理・経営に結びつくという意識啓発並びに、風土や環境に根ざしたさまざまな映像作品が世界から集まることで、わが国の木の文化を共有し、わが国と海外、特にアジアとの文化交流にも貢献したい考えで実施中。
本年2020年は新型コロナウイルス蔓延のリスクがあることから初めてOnlineのみでの映画祭となる。